1977年竣工のオフィス・店舗複合ビルの改修です。 五反田駅周辺はIT・フィンテックなどのベンチャー企業が集積し、シリコンバレーを模し「五反田バレー」と呼ばれてきましたが、敷地周辺のヒューマンスケールな街路のイメージから、ニューヨークのスタートアップが盛況なエリアであるシリコンアレー(小道)と組み合わせ、新たな名称「五反田アレー」として生まれ変わりました。 建物がそこにあり続けた価値を探り、無理に新しいファサードイメージを与えるのではなく、ヒューマンスケールな街路と調和させるため、基壇部にはテクスチャーの強いダークな左官材を用いテナントを際立たせ、上層部には周囲の建築と馴染む色彩を選択しました。 エントランスにはCO2排出量削減のシンボルとして多角形に加工した杉の無垢材ゲートを配置しました。この杉材は、窒素加熱処理により薬剤を一切使用せず、環境負荷が少ない無公害木材でありながら木の腐りやすい成分を分解し、天然埋木(うもれぎ)のような落ち着いた色合いで周囲と調和します。ゲート材を造る際にでた端材を内部のカウンターやサインに使用しています。 ロビーはスケルトン天井化により躯体を活かした広がりある空間感を生み出し、梁貫通孔を利用したライン照明を設置しました。 また、基準階エレベーターに寄り添う階段の防火扉は常開である為、連続する床パターンでその関係を可視化し、階段活用のきっかけを作り、人々の出会いを増やすことを目指しました。 (フィールドフォー・デザインオフィス 大久保敏之)
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クレジット
- 設計
- 日本建設株式会社
- 施工
- 日本建設株式会社
- 撮影
- ナカサ&パートナーズ 辻谷宏
- デザイン監修
- フィールドフォー・デザインオフィス
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