麻布のペントハウス

ビルディングタイプ
共同住宅・集合住宅・寮

DATA

CREDIT

  • 設計
    G ARCHITECTS STUDIO
  • 担当者
    田中亮平
  • 施工
    ニューファニチャーワークス
  • 撮影
    志摩大輔

築40年の古いビルのルーフトップの住居のリノベーションのプロジェクト。場所は東京タワーのほど近く。 ルーフトップはかつて、ビルの頂部の機械室置場として利用されるのが一般的だった。しかし1923年に状況が変わる。NYのプラザホテルが発表したペントハウスアパートメントの計画以降、相次いでルーフトップに開発される事となったと言われている。一方東京の場合、狭い土地に建てられたペンシルビルの頂部に、こじんまりした異形の内部空間として現れるケースがばかり。今回もまさにそんな条件のプロジェクトだった。 既存の間仕切り壁を解体した現場に訪れると、そこはまさにビルの機械室置場といった様相だった。古いコンクリート躯体は荒々しい表情で、部屋には古い配管が飛び交っていた。工事業者に聞くと、配管はエレベーターの機械室や隣の部屋などから伸びるものであるため、撤去が出来ないという。 我々は現場の状況を受け入れる事にした。そして今回、スチールの手摺や銅巻の露出配管、錆をアクリルに転写した内窓、躯体のマスキング塗装など、新旧を混在させつつ同居させる為の様々な手数を投入した。出来上がった空間は機械室の中に“ペントハウス”が組み込まれた、そんな佇まいとなった。それは有効な活用がなかなか進まない東京のルーフトップへの我々なりの回答でもあった。

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