
DATA
- ビルディングタイプ
- その他オフィス・企業施設
- 構造
- 木造
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 135.55㎡
- 竣工
- 2020-05
CREDIT
- 設計
- つばめ舎建築設計
- 担当者
- 永井雅子、根岸龍介
- 施工
- 直営
- 撮影
- 中村晃
塗料材の卸を営む会社で、現事務所建物の老朽化と配送トラック乗り入れの関係で隣地に新たに敷地を購入し建築した. 周辺は田んぼが遠くまで続く長閑な風景が広がり、春から秋にかけて青田や黄金の稲穂など目を楽しませ心地よい風が吹く.そして秋の終わり頃から灰色の空と雨が続き次第に雪へと変わる.この地域の雪は水分を多く含み固く重い.多雪地域である.一晩で1m積もることもある.雪下ろしはしたくないという事で自然落雪する勾配屋根にし、積雪量を鑑みて床を地面から1m上げた.屋根外壁の板金は雪や湿度対策で、地域的に昔からよく使用されているものである.吹きっさらしの中で耐えるように屋根と壁を一体で建物を包んだ.板金の赤い色も周辺地域でよく使われており、田んぼの稲穂とのコントラストが映える. 会社は家族経営で従業員も少人数の為、シンプルな機能が求められた.集中して仕事を進められることがオフィスの役割だ.せっかくのダイナミックな景色を敢えて取り込む必要性は感じられないとクライアントは言う.もちろん素晴らしい風景とは知っているのだろう.ただあまりにも見慣れすぎて意識することがほとんどない.働く人にとってはまわりの風景も含めひたすら日常が続く. そんな日常のワークプレイスに対して転換点を設けた.柱の連なる先の窓からは、見慣れている風景の向こうがどこかに繋がっていることを感じとり、その先へのイマジネーションを呼び起こす起点となる空間の在り方を考えた.漫然とした意識の中に、少しでもこの環境で働くことの楽しさ、気持ちよさを感じ取れるようなオフィスとなればと願う.(永井雅子)
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