KURA SUSHI

ビルディングタイプ
レストラン

DATA

CREDIT

  • 設計
    (デザイン監修)SAMURAI
  • 担当者
    佐藤可士和 齊藤良博 奥瀬義樹 石渡菜央
  • 施工
    株式会社シーエーリーディング

全国に400を超える店舗を展開する回転寿司チェーン大手が、新たに描く世界戦略のディレクションの依頼を受け、第1弾プロジェクトとしてグローバル旗艦店「くら寿司浅草ROX店」のトータルプロデュースを手がけた。 店舗の設計にあたって掲げたテーマは、安心安全な食を、エンターテインメントとして「楽しく」提供することにこだわってきたくら寿司のDNAとともに、日本が誇る食文化である寿司本来の魅力を世界に発信すること。 町人たちがファストフードとしての寿司を楽しんでいる江戸時代の1コマが描かれた歌川広重の「東都名所高輪廿六夜 待遊興之図」から着想を得た佐藤は、この「食×エンターテインメント」の原風景を現代に蘇らせることをコンセプトに設定した。広重の浮世絵や無数の提灯、お面などで彩られ、屋根や支柱を組み合わせ、まつりを想起させる「やぐら」をつくった店内には、射的や輪投げなどが体験できる「縁日スペース」も設置。まつりや縁日のような高揚感のある空間を演出するとともに、白木で統一した壁や床、テーブル、椅子、畳のシートを敷いた座席などを通して外国人が思い描く「和」の世界観を表現した。 店舗のシンボルとして吊るされた巨大な提灯に掲げられている全世界統一のグローバルロゴでは、江戸の町人文化の象徴であり、和食との親和性も高い江戸文字をベースにしたひらがなと、世界中の人たちがひと目で分かる欧文を併記。さらに、「く」と「ら」のひらがなの造形をベースに、くら寿司の屋号の起源である蔵の外壁に用いられるなまこ壁の文様をイメージした紋章も新たにデザインした。 食のアミューズメントパークを標榜してきたくら寿司ならではの店舗体験を最大限に拡張した空間から、ブランドのDNAや日本が誇る食文化を世界に発信するグラフィックツールまでをトータルでデザインした同店を皮切りに、今後も同ブランドが推進する海外展開をクリエイティブ面からサポートしていくことになる。 2020年4月に行われた意匠法改正にもとづき、同店のデザインが「内装」としては国内初となる意匠登録案件となった。法改正により、従来の「物品」に加えて、「建築物」「内装」「画像」が新たな意匠の保護対象となり、数百に及ぶ登録申請があったが、その中から特許庁に認められたのは「建築物」2件、「内装」2件の計4件のみ。そのうち佐藤可士和が携わったプロジェクトが2件を占めており、人々の記憶に残るイメージを植え付けるアイコニックなスペースブランディングという近年注力してきたデザイン手法が改めて評価される形となった。

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