Pettanco House

長野県松本市の夫婦と子供のための地元カラマツ材による住宅。敷地は西側と北側が道路、南側が川であり三方に開かれている。建主は工芸家であり一部がギャラリーとしても使用できることと、床面積を確保しながらもローコストであることを求めたため最高高さを抑え且つシンプルな形状を心掛けた。 平面計画は短手四間長手六間。長手方向に水勾配をとる切妻屋根で、中央の高い部分に2階を持つ。玄関は妻入りではあるが、ギャラリーとして使う際には南からの平入りも可能。川が流れる南から北に向ってパブリックからプライベートへとゾーンが移り変わる。屋根に設けたドーマーからは光が降り注ぎ、風が抜ける。また1階の薪ストーブは南北の吹き抜けや個室の欄間、2階床のルーバー等によって建物全体の熱環境を整える。 今回この建物の構造材、外壁材、床材、胴縁等に使用したカラマツは、建主の工房がある美ヶ原から伐採されたもの。慣れ親しんだ山から採れた木は地理的にも敷地から10km圏内とたいへんコンパクトな地産地消を実現した。一般的には丸太から製材される材料は50%程度だが、木取りを工夫すること(床板の幅や芯を避けた部分で外壁等をつくること)により歩留まり率を68%まであげることができた。この地域のカラマツは戦後に植林されたもので、幹も太くなり無垢材として柱や梁の利用も可能となった。貴重な資源をなるべく捨てない取り組みを製材会社と共に行った。 *『ペッタンコハウス』は建主の娘さん(5歳)が命名

クレジット

  • 設計
    田邉雄之建築設計事務所
  • 担当者
    田邉雄之
  • 施工
    武井組
  • 構造設計
    ロウファットストラクチュア
  • 撮影
    Yuji Tanabe

データ