クライアントは50歳代の娘と彼女の母そして猫二匹である。築約40年の日本では一般的な彼女達の家を今後40年使う為に屋根を軽くし構造体を耐震補強し壁面クラックを補修する事で建物を延命する事、そして同時に少しだけ内装を刷新する事が求められた。父の記憶が残るこの家は基本的に今のままで良い。慣れ親しんだ生活様式も変えたくないという要望であった。 そこで私達は既存の記憶を残しながらも耐震性能を上げ、特にこの娘さんがお一人で暮らすようになった時にも豊かな暮らしができる方法を模索した。 私達は構造体補強の為の方杖の連続によって出来た人間には通常不要な空間が、猫と共に暮らすこの家族にとっては大変豊かな空間となるであろうと考えた。 自由に遊ぶ猫を、今日もクライアントは微笑ましく眺めていることだろう。
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