M+K邸

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    建築設計事務所SAI工房
  • 担当者
    斉藤智士、林由莉香
  • 施工
    株式会社池正
  • 構造設計
    株式会社 アーキストラクチャー
  • 撮影
    山内 紀人

大阪の南東に位置する狭山ニュータウンという郊外型住宅地での計画。40年ほど前に開発が行われ、現在もベットタウンとして人気であり、新しい住宅が入り混じった住宅地である。施主は子どもと愛犬が安全に元気に走り回れる住まいを希望された。 犬と共に暮らすという事は、毎日の散歩など、暮らしの中で外を歩きながら、天気や気候、季節などの豊かな外部環境を感じ、街の中でちょっとしたコミュニケーションを地域住民とも交わす事ができると思った。そんな人と犬が共に暮らす事で生み出す副産物を住まいに積極的に取り入れたいと考えた。そこで、住まいの中心に散歩道のような土間空間を設えた。この散歩道は玄関であり、リビングの一角でもあり、縁側のようでもあり、廊下、テラスの一部にもなる。時には道端で世間話をするように住まいの土間でちょっとした交流も出来、間接的だけでなく直接的に繋がることも出来る。将来的には、外部テラスと2Fの屋上テラスを階段で結ぶことで、地域と1F、1Fと2Fがぐるぐる回れる通路を生み出す事ができる。住まいの中央に散歩道を設けることで、住宅に囲まれたような住まいであったとしても、人と人、ペットと人の関係から何かのきっかけで新たな暮らしの彩りがこの散歩道から生まれていくことを想像した。また、土地の諸条件により南面には一時的に大きな目隠しを設ける必要があり、単管足場を下地にポリカーボネート波板を貼り付ける仮設的な塀を設えた。散歩道とテラス、リビングを一体的に扱い、室内空間と外部空間を曖昧に拡張しやすいように、仮設塀とL字型の外壁で囲った。また、土間の屋根はFRP折板を採用し、西側の水回りボリュームに屋上テラスを配置して高さを抑える事で、いつでも自然光に包まれる構成とした。L字の外壁は住まいを守る恒久的に変わらない重量のある壁として、南側の塀は仮設的で軽やかな素材として、水回り壁は光や住まいの彩りを映し出す装置として各素材を内部外部統一して選定した。ぐるっと囲うような住まいの構成であっても、散歩道を引き込み、どこか外のような素材、設えを構えることで、街の中で豊かさが暮らしに繋がる住まいを目指した。

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