Restaurant in Akasaka

港区赤坂にある居抜き物件の改修計画。 予算が限られていたことと、再利用できる物が多くあったことから、既存部分への応答の集積として、明確な全体像を決めずに設計を進めた。 具体的には平面、断面の計画や配管ルートなど、空間の骨格は既存を踏襲している。一方で、もともと存在していた形・素材・質感といった要素に対して、転用・拡張・抽象化の操作を加えることで、既存の文脈に新しい解釈を与え、全く異なる空間の質を生み出している。 既存サッシと同色の素材を外装に用いてファサード全体へと拡大し、屋内の天井木口や、厨房吊り棚の幕板にまで転用した。場当たり的に貼られていた石の腰壁をカラーMDFで覆い、一つながりの腰壁で客席空間全体を包んだ。既存の厨房天井を客席側にまで延長し、厨房と客席の一体感を生みだした。 延長した天井の中心に穴をあけて躯体を見せることで、天井が低く親密な客席と、天井高さ4.8mの開放的な客席という、二種類の空間を生み出している。天井に開けられた穴は、既存の再解釈によって整えられた空間を、撹乱すると同時に調和を与える存在として挿入されている。裂け目のようなこの形状は、サッシに連なる屋外の延長でもあり、もとの空間には存在しなかったカーブによって、視線を奥へと誘導する。

89

チーム

メンバー

クレジット

  • 設計
    ULTRA STUDIO
  • 担当者
    笹田侑志, 上野有里紗, 向山裕二
  • 施工
    株式会社セットアップ
  • 撮影
    山内紀人

データ