堰の家

ビルディングタイプ
戸建住宅
11
204
日本 大阪府

DATA

CREDIT

  • 設計
    建築設計事務所SAI工房
  • 担当者
    斉藤智士
  • 施工
    株式会社池正
  • 構造設計
    株式会社 アーキストラクチャー
  • 撮影
    山内紀人

クノロジーの進歩と社会制度の変化で複数の職種や居住する場所を持つ人が増え、人や建築を 含めたリソースを循環させる社会が迫ってきている。私自身、公私の境目なくいろんな居場所をつ くりながら、生活と仕事が入り交じった暮らしをしている。そんな私たち家族の住まいを、1967~79 年に造成された郊外にある住宅街に構えた。この地域でも高齢化が進んでいるが、近年では大阪 や神戸のベッドタウンとして建て替えを含めた新陳代謝が活発となっている。豊かな環境を活かし 、住宅地から山林に抜ける風を取り込み、山林に沿う住宅地の風景を寄与できるよう南北に抜けの ある住まいを計画した。ここにふたつのボリュームを設け、浮いたような大屋根で敷地全体を包み 込み、住宅地から山林へと風、光、人が誘われる。道路側に設けた大きな建具は、自然(山林)と人工 (住宅地)を繋ぐ堰として機能する。開け放つことで水が流れ込んでくるように、内部にさまざまな環 境が混ざり合う。子供が中と外関係なく走り回ったり、バーベキューを楽しんだり、また、ギャラリー や習いごとの教室を開くなど多用に利用できる。逆に大きな建具を閉めると、人が集い寛ぐリビン グとなる。約9mスパンの大屋根は、東端5本+西端5本の合計10本のみの柱で支える木構造とし、 構成の自由度を担保した。棟中央、登り梁と桁の接合はホームコネクターを用い、木軸ラーメンのよ うに組み合わせた。またふたつのボリュームを3本のH鋼で繋げることでスラスト力を負担しタイバ ーなどを使わない架構をつくり出し、南北の抜けを生む浮いたような大屋根を実現した。今後、この 土地が多様な暮らし方を許容できる住宅地となっていくためにも、人びとの営みに寄り添い、多彩 なシーンに対応できる住まいを目指した。暮らし方は常に変化する。何が起きるか想定できなくと も、何かが起こるはずだという場所をつくることが、暮らしのこれからに繋がっていくのではないか。

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