大型商業施設の地下1階フロア全体を利用した、イノベーション拠点としてのコワーキング施設の計画である。周辺地域には自動車・二輪産業の下請けであった技術力のある中小企業が多く、イノベーターとなりうる人材が多数存在する一方で、多様な才能をつなげコラボレーションを起こさせる場が乏しく、新しい産業分野の土壌が育てられる拠点づくりが求められた。 デパートの地下という特性上、複数からの平面的なアクセスや、エスカレーターやEVなどの垂直的なアクセスなどその交わる回遊性の中に施設を位置づけ、共用通路のプラン変更をまず行い、「小割されたテナント区画」と「非テナント区画の共用通路」の線引きの再整理を行った。それにより共用通路で明確に分断されていた既存のテナントスペースを刷新し、その境目がなるべく消えていくような性格付けを行い、隣接する活動や雰囲気が全体で共有できるような同時多発的なプラットフォームを目指した。 コミュニティの中心となる広いデッキとシェアキッチンを持つラウンジエリアを核に、施設全体が有機的に繋がる。働く場所として常にアップデートしていく余白を持たせ、多様性が生まれる下地になってほしいと考えている。

クレジット

  • 設計
    中村尚弘建築設計事務所、(設計パートナー)山下真平建築設計事務所
  • 担当者
    中村尚弘、山下真平
  • 施工
    遠鉄建設、照明:遠藤照明 石井慎太郎
  • 撮影
    長谷川健太

データ