
DATA
- ビルディングタイプ
- 幼稚園・認定子ども園・保育所
- 構造
- 木造
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 530.28㎡
- 竣工
- 2014-10
CREDIT
- 設計
- 山﨑健太郎デザインワークショップ
- 担当者
- 山﨑健太郎
- 施工
- 東庄建商、設備:yamada machinery office、グラフィックデザイン:横山俊平デザイン事務所
- 構造設計
- ASD
- 撮影
- 黒住 直臣
この保育園は千葉県佐倉市にある定員60名の計画である。 隣地で特別養護老人ホームを営む社会福祉法人誠友会が事業主として計画が進められた。計画は「保育園は大きな家である」という考えに基づいている。周囲を山林に囲まれた敷地は南に緩やかに傾斜しており、それをそのまま利用して階段状に保育室を配置した。 この「大きな家」では、例えば3歳と5歳が互いに意識できる大きな一室空間としている。逆に3歳の子供が寝ていて、5歳の子供がそばで遊んでいるといった生活リズムの違いは、ここでは「大きな家」の特徴として捉えている。部屋にならないことで起こるデメリットより死角を極力つくらないことを優先させ、段差の安全対策を必要最低限にとどめ、運営する中で対応を講じるという、誠友会が特養で26年培われた理念が引き継がれた。 南面と北面に大きく開放できるサッシと斜面利用した空間を利用した重力換気により、建物に南から呼び込まれた風は林のように林立した柱の空間を高く持ち上げられた北側のテラスへ抜けていく。南に傾斜した大きな屋根面を冷やす井水散水や屋根から伝う雨を受ける南面のジャブジャブ池は、建物に取り込む風の気化装置にする。建築を環境に対して閉じない計画とした。この保育園で目指している「大きな家」は、この地域にかつてあった農家住宅のようなものに近づいたように思う。 この場所でしか感じられない風や、雨や屋根散水の水が南側の庇から滝になって遊べる楽しみが子供たちの原体験として残ってくれれば嬉しい。
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