villa921

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    ハルナツアーキ
  • 担当者
    村梶招子 村梶直人
  • 施工
    八建実業
  • 構造設計
    寺戸巽海構造計画工房
  • 撮影
    中村絵

空港がなく、石垣から40分の定期船が交通手段である西表島は、島の大部分が国立公園に指定されており、島の90%は亜熱帯の原生林に覆われている。東京出身のクライアントは、移り住んで14年。ついに家を建てることにした。周囲からの視界は遮られ、前方には農場が広がる贅沢な敷地である。 必要な諸室はリビングダイニング・寝室・キッチン・トイレ・シャワー室。仕事の道具も入る多めの収納。寝室の入口は2か所。子どもは二人いるが、島には高校がないので、子ども部屋として区切る時期はごくわずかである。 屋上はいらない。敷地には十分なスペースがあり、雨水をためない切妻屋根を採用した。樋もいらない。雨は外壁につく塩気を洗い流す。景色が広がる西側には深い庇を出し、本島の5倍という強い日射を遮る。広いテラスは仕事で使った道具を洗い、干すスペースでもある。 島では、台風がくると雨戸を閉め切り、長い時には数日間過ごす。停電でクーラーも使えない。台風時も窓が開けられるように、庇先端に防風ネットがとりつけられるようにした。 室内面積は21坪。決して広くはないが、部屋から望む広大な風景により、狭さは感じられない。島では生活の原点のような暮らし方になるとクライアントは言う。起きて、働いて、食べて、飲んで、寝る。島の人間関係は濃く、地域の人々とつながった暮らしである。地域に包まれた、小さな家でのシンプルな暮らし。新しい家はすでに西表島になじんでいる。

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