東京・北千駄ヶ谷に位置する、デザインラボラトリー「SUPER SUPER inc.」のオフィスである。同社はプロジェクトごとに様々なクリエイターとコラボレーションし、多彩なデザインを生み出している。 通りに面した立地を生かし、オフィスとしての機能だけでなく、会社の顔を作ることを意識した。ファザードには9mのガラスサッシを作り、絵画や観葉植物、打ち合わせの風景など、通常では内側に入れて隠してしまうものを通りから見えるようにし、外に情報を発信できるようにした。 とはいえ、デザインを行うオフィスなのでプライバシーの確保も必要になる。そこでガラスサッシの内側にモルタルの壁を構成。高さに変化をつけることで、生垣や植栽のようなリズムが生まれ、見え過ぎず、見せ過ぎないパーティションとなった。また、モルタルの壁はワンルームの空間をギャラリー+ミーティングスペースと、ワークスペースを二分しながら、ミーティングスペースのベンチ席とギャラリーとしての壁、ワークスペースのカウンターと3つの役割を与えた。その役割を全うする彫刻的な形状は、オフィスの最大の特徴となっている。 内部空間は多彩な色を使用するデザインを行う空間なので、白色塗装を施すのみのシンプルな空間とした。壁や建具、デスクなどの什器は、モルタルやアルミ、ラワン合板など、本来は構造体や下地に使用される素材を実験的に無垢な状態で制作している。その実験的なデザインは、良くも悪くも新しい発見を与えてくれる。特徴的な壁面収納にはアルミ板を使用。ファザード以外に開口のない閉じた空間に、自然光が柔らかく反射しながら内部へと差し込み、時間帯によって表情を変える。 小さな建築が集まった街並みに自然と調和し、街に受け入れられたインテリアになったと考えている。