ササハウス

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    矢部達也建築設計事務所
  • 担当者
    矢部達也
  • 施工
    木村工務店 担当/篠田要 、外構・造園:家谷植景研究所 担当/家谷由起、不動産:建築家不動産 担当/林敬一
  • 構造設計
    基本設計:担当/白髪誠一(大阪工業 大学)、 実施設計:U'plan 担当/尾崎光
  • 撮影
    笹の倉舎/笹倉洋平

敷地は手つかずの隣地が特段の境もなく続いていて、住宅地にもかかわらず山裾のような場所だった。その山の斜面を受けとめるように、山の緑に向き合うように、変形L字型の平屋を雑木の枝張りの下に差し入れた。家の重心は、Lの字が囲む山(庭)に定まった。 L字の両辺にかかる切妻の半分を室内にあて用途に合わせて細かくきざんだ。そしてもう半分を外部の縁側に。屋根を片持ちにすることで外性が強まった。各部屋への出入りにはここを通る。充分に広いので通るだけではない居場所にもなる。むしろ各部屋は縁側と合わせてやっと相応の広さになるとも言える。日常生活に否応なく外環境が入り込む。本来の内部を外部化した。 この拡幅された縁側は中間領域といえばその通りだが、内と外の緩衝帯というのではない。部屋の中にまで山(庭)の外環境を浸透させる触媒のような役割を負っている。縁側にいても部屋にいても意識は家の重心の方に向かう。どこにいても外で暮らしているようだ。 ところで山(庭)に立つ落葉性の雑木は夏には葉を茂らせて部屋に深い陰を落とし、冬にはすべてを地面に落として日の光を部屋の奥にまで届ける。家の重心に位置する木々は可変する「屋根」でもあったのだ。

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物件所在地

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