「小さなアトリエのある暮らし」 建物は駅前の商店街にほど近い築30年、建坪16坪ほどの小さな木造2階建アパート。間口3.6m奥行約12m 1,2階合わせて6戸の典型的な一人暮らし用アパートの1階部分3戸を家族3人が暮らすための改修計画である。約16坪の限られた空間の中で「妻のアトリエ」「仕事で使う本や資料、布地や糸などを収める壁面収納」が求められ、コンパクトで心地良い「職住一体の空間作り」がテーマとなった。既存の水回り位置を生かしながらキッチン、トイレなどの水まわり機能を北面に、建物の一番奥に当たる東側に寝室と将来の子供部屋を配し、アトリエと皆が集まる場を一体にすることで、仕事をしながらでも家族と会話が出来、小さいながらも大らかで無駄のない空間構成となった。既存の開口部を最大限に活かすことで、光と風をやさしく取り込み、新しく植え直した庭の緑と温かな木の質感に包まれたこの家は、設計当初から思い描いていた、新しいけれどどこか懐かしく、遠い過去の記憶を呼び起こすような素朴で穏やかな空間に生まれ変わった。

クレジット

  • 設計
    今泉隆史デザイン事務所
  • 担当者
    今泉隆史
  • 施工
    岩本組
  • 撮影
    今泉隆史
  • 植栽
    irotoiro

データ