
奈良県桜井市の桜井駅からほど近く、 地域に残る町家などの歴史、文化、伝統が息づく建物を活かし、 魅力あふれる街並みとなるように、景観保存地区に指定されている計画地。 地域に潤いを与え、調和する形態となるよう、 軒先の水平線を表現しながら、大きな軒下空間をつくるとともに 屋根をくり抜き、植栽を配し、緑溢れる外観を形成した。 植栽の周囲は円形のベンチとし、この中間領域を人が憩える場とした。 待合室には、中庭の円形開口から光が降り注ぎ、緑の木陰が揺らぐ。 待合室のベンチから、季節や時間により変化する木漏れ日にやすらぎを感じる空間とした。 診療所の動線の複雑化などの課題に対して、中庭を囲って2つの廊下を配置することで、患者、スタッフにとって明快でシンプルな動線計画とした。 ぬくもりのある素材を組込むことで、やさしい診療所に、 街並みのなかで、緑の木漏れ日の下に自然と人が集いたくなる 公園のような存在となっていくことを切に願う。