
庖丁・鋏などの刃物を中心に幅広い生活道具を扱う店舗の計画。空間の中央に5本の木材を浮かべている。これは「テーブル」というよりも瑞々しい「素材としての木」そのものが宙に浮遊しているような空間である。そのために木の素材としての特性を最大限に生かすように設計している。例えば、120mm厚の無垢木材の構造としての強度を最大限に利用し、さらにこの無垢木材を細い鉄骨のフラットバー2本だけで支えることで、木材のみが独立して空中に浮遊しているようになる。店舗の年齢と同じくらいの樹齢200~300年の木材一つ一つの個性を見極めながら、陳列される商品に合わせて一本ずつ選定し、無塗装で使用している。この無垢の木材に経年で汚れや傷がついたら、かんなで削り直すことにしている。その時にはまた新しい木肌が表れ、空間の中に新鮮な木の香りが溢れることになる。
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