Yamanone no ie

ビルディングタイプ
戸建住宅
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PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    FUDO、塗装工事:RISE(塗料調色:COAT)、左官工事:尾形工業,斉藤左官工業、屋根板金工事:NSシートメタル、構造材プレカット:大三商行、基礎工事:六合木材、木製建具工事:金杉建具
  • 担当者
    三輪直樹、大工:高橋一成
  • 施工
    オカムラホーム
  • 構造設計
    きいぷらん 山下智
  • 撮影
    笹の倉舎 笹倉 洋平

鎌倉の谷戸に建つ本物件。 山の根に位置し、周囲を山に囲まれた敷地である。 急坂を登るとそこには10件もない集落のような様相。 行き止まりが該当敷地にあたるが、近付けどもなかなかその姿は見えてこない。 敷地形状は台形の旗竿地であり、間口が狭く奥に広がった形をしている。 特異な敷地条件から具に周辺を観察しつつコンテクストを読み取り、その地形から削り出したような家を建築した。 とりわけ敷地の持つポテンシャルを最大限に引き出すことに力を割いた。 ピロティ、中庭、バルコニーと塊から削り出されたヴォイドが、空気や光、水の通り道となり、家に彩りを与えてくれる。 その彩りを活かすためには谷戸としての山の連なりに寄り添うように空間構成をすることが必要だと感じた。 そこで、ひとつながりでありながら離散的空間となるよう、空間構成や窓の配置を丁寧に行った。 ファサードは旗竿地らしくひょっこりと顔を出し誘うような立面構成とした。玄関ドアは外壁材と同じ焼杉板張りで最小限の存在とし、上部には間口最大限の開口部を大胆に設けた。 それが街との接点であり、唯一遠景を望める場所であった。 中庭を介して反対側の居室から外形の窓まで視線の抜けがあり、どこからでも山の景色が望めるように窓を配置した。 内側から外側に視界が広がるように、屋根勾配は中庭側に落ちる内勾配とした。 中庭が三角形であるため、窓から正面に反対側の居室が見えることがなく、視線のずれを生んでいる。 また、この屋根形状が外側の外形を塊として認識する操作となっている。 2階の天井は構造材を表しとし、構造と意匠が一体であることを表現した。 ファサード面からもその構造美を拝めることが出来る。 夜になると建築の塊としての外形が消え、ライトアップされた天井面の構造美のみが浮かび上がる。 結果として外からは屋根面を見ることはできず、内側から初めて屋根形状を認識することが出来る。 玄関を入ると階段から吹き抜けとスキップフロア、書斎まで見通せる大きな気積をもった空間構成とした。この大きな空間を壁面収納が一面を構成しているが、大量に余ってしまった木下地材の間柱を格子状に編むことで、通常は壁の中に消えてしまう下地材を表出させたアップサイクルなデザインとした。 2階に台所や居間、書斎など活動的な場を配置し外形側に開き、1階に寝室と水回り機能などプライベートな場を配置していることから中庭側に開いた。 廊下がなく、居室と居室が数珠つなぎのようにひとつながりでありながら、各場所が離散的な空間となっている。 屋外のピロティや中庭、バルコニーもヴォイドとしてこの家の重要な要素になっている。屋外と屋内を分け隔てなく織り交ぜることでその境界が曖昧になり、建物としては大きくないながらもいくつもの居場所を持ち、豊かな空間を感じられるように設計した。 谷戸とともに暮らし、山に開き、山の音に耳を澄ます。それはすなわち自然と寄り添い共生すること。 人工物をどんなに強固にしようとも、自然の力には抗えない。 そんな思いをカタチにした。

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