内と外をつくる屏風 このプロジェクトは、外国人観光客をメインターゲットとしたサービスアパートメントホテルである。外国人観光客の多くは、長期滞在や、複数人での滞在等の特徴があり、このホテルでは、このようなゲストの滞在に特化した宿泊施設をつくるための様々な工夫が施されている。 敷地は、日本の古都京都であり、鴨川に近い特徴的な場所である。河の多い京都特有の風土から生まれた、柔らかな色彩や日本文化の感じられる滞在空間を、日本で古くから親しまれた『屏風』をモチーフとして実現しようと考えた。 『屏風』は、空間を間仕切る。または、装飾するといった二つの機能を持っており、日本の建築様式において重要な役割を担ってきた。また、折り曲げるという単純な構造により生まれる『くの字』の形態には、「内」と「外」のように、相反する二つの空間が生まれる。 『屏風』の「内」と「外」をラウンジに求められる「賑わい」と「寛ぎ」の空間に置き換え、ホテルの滞在空間にあるべき2つの空間の質を共存させる構成とした。寛ぎが生まれるくの字の内側には、ソファなどを設えた。また、くの字の外側は、背景となり、装飾的なものとして機能している。このような、日本的なラウンジ空間は、旅の記憶に残り、特別な空間体験となることを期待している。
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