
PROJECT MEMBER
本物件が入居する大手町ビルディングは、100年ビルへの挑戦を掲げて大規模リニューアルが行われた築60年を超える古参の大型ビルである。 建築ストック活用が社会課題となっている背景と、経済の中心地である大手町の地上階という立地性が、社会との関わりを促進し、企業及び社員の働く意義となるパーパス醸成に適した環境であった。 業務特性上、自らの働き方や働く環境を披露することが社員の成長とブランディングを高めることから、来訪者の案内動線と屋外からの視認性を意識した計画としている。 部材ロスの少なさから、日本建築で古くから用いられてきた白銀比(大和比)モデュールをプランニングのダイアグラムとして採用することにした。 本ビルのプランニングでも用いられたと考えられるこのモデュールを、大小様々なサイズの部屋として分散配置した。通常、分散配置していくと空間の効率性や統一性は失われやすいが、同一比率のプランニングによってそれらは守られ、案内動線と屋外からの視認性を両立したシークエンシャルな空間構成を可能にしている。 分散配置で生まれた部屋間のスペースには、ワークフローに沿った機能とコミュニケーションのきっかけとなる要素を盛り込んだ。事業に基づいたワークシーンが自然と作られる事で、スムーズな事業理解を促し、来訪者や社員間の新しい関わりの場となる。 レセプションには、これらのコンセプトを伝えるためにモデュールを用いた印象的な造作照明を設置することで、視覚的にも設計意図を表現している。