Vook Shibuya

映像クリエイターを支援するための様々な事業を展開する株式会社Vookのオフィスデザイン。リモートワークでも生産性を上げてきた企業の一層の成長拡大のため、一体感とモチベーションを高める「集うための場」を計画した。 「Vook Library」は、プロジェクターやタブレットによる最新の映像、クリエイターによって選定された書籍がディスプレイされ、クリエイティビティを活性化することができるライブラリー。社名の由来となったVideo bookからインスピレーションを得た。ライブラリーをオフィスのエントランスに配置することで、情報の発信源としての企業姿勢を伝えている。本棚を潜り抜けてワークスペースやミーティングルームに入っていく構成で、本棚の一部には、ベンチやマンツーマンで話すことができるテーブル、立ち話のよりどころとなるハイカウンターなどを組み込んでいる。これにより、リモートワークでは得られない偶発的なコミュニケーションが発生する空間を実現している。 また、業務内容や気分に寄り添うために、家具には様々なマテリアルを採用。本棚はVookのビジョン・ビジュアルから着想を得たブルーで染色し、木の質感が感じられる触覚性の高い仕上げにしている。耐久性の高い紙材の積層によるワークテーブル、リノリウムによるモニターカウンター、キッチンの延長として活用されるステンレスのハイカウンターなど、ブルーを引き立てるモノトーンの家具にもそれぞれ質感を与えた。また、ライブラリーやミーティングルームに設けたサインはアルミ染色によるもので、ビジョン・ビジュアルを実写化したような表現を目指した。 リモートワークが普及した現代においては、1つの空間で複数のオンラインミーティングが同時に行われるシーンも増えてきている。この状況に対応するため、オンラインミーティングに活用できる居場所をオフィス全体に散りばめることとした。また、一時的に距離を確保できるように、分割可能なテーブル、可動壁、防音性の高いカーテンブースなどを積極的に取り入れている。そして、それらが視覚的に意識されないように整理し、クリエイティビティを補完する整然とした余白と、出社が楽しみになる「集うための場」の実現を目指した。 オフィスが完成して数ヶ月が経過し、出社率は高まり、社員のモチベーションもさらに高まってきている。新しいオフィスの在り方として、「集うための場」を実現する試みは、着実にその効果を発揮してきている。

メンバー

クレジット

  • 設計
    イド、プロジェクトマネジメント:河村晃宏(パナソニック)、足立卓実(パナソニック)、奥津拡(パナソニック)、設備設計:塚本英勝(パナソニック)、仲宗根遥(パナソニック)
  • 担当者
    小栗誠詞(イド)、渋谷明(イド)
  • 施工
    田中仁朗(ディプス)、牧田正蔵(ディプス)
  • 撮影
    shuntaro (bird and insect)、小栗誠詞(イド)

データ