あざみ野の土

ビルディングタイプ
戸建住宅
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日本 神奈川県

DATA

CREDIT

  • 設計
    Eureka、デジタルファブリケーション: VUILD EMARF事業部(制作)、Green Brick:岡田煉瓦製造所(制作)、左官:都倉達弥、外構・造園:石川造園 担当/石川裕太、土材料・構法の研究開発:山田宮土理
  • 担当者
    稲垣淳哉+佐野哲史+永井拓生+堀英祐
  • 施工
    大同工業株式会社
  • 構造設計
    Eureka
  • 撮影
    大倉英揮

土を工作し、地表を借りぐらしする家 敷地は、70年代に造成された典型的な日本のニュータウンにある。建主である父母は健康な老年期、子供達の家族は、ここに同居や近居する、多世代家族の家だ。ひな壇造成された斜面宅地には、住宅と道路にバリアフルな高低差があり、高齢夫妻には厳しい環境である。また、造成地のコンクリート擁壁が、街並みを無機質な印象としていた。この慣習的風景を豊かなものへとリノベーションすることから計画を行った。 住宅の構成として、しっとりとした土間が広がる一階は、ゲストを迎えるセカンドリビングである。道路とフラットなレベルを敷地奥へ段々上に連続させている。将来的には居室とし、足腰が不自由になっても一階で生活が実現できる。対して2階は、木構造による背の高いリビングが中心にある、軽やかなスキップフロアである。色彩と素材のコントラストによって、土素材を鮮やかにし、現代的な自然素材のあり方を目指した。 一方この家は土の建築材料・構法を専門とする研究者の実家でもあり、研究に基づく知見が大いに活用された。きっかけは工事により排出される土活用にあり、土の自然循環性や調湿性、誰でも参加できるような平易な施工性など、材料特性を活かす構法を開発した。結果的に、敷地内の土利用に限定せず、工業化された未焼成煉瓦の利用や、左官の土床、土障子などを組合せ実装した。 現代都市では、地表の多くがアスファルトで覆われ、見えない土のランドスケープに暮らしはつながれている。人類の地球環境への大きすぎるインパクトが、大きな環境思想を煽る時代を横目に、小さな土ブロックを用いて、住居を自然へと土着することをささやかな試みた。

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物件所在地