福島の暮らしから生まれた「新しい名産品」のギフトショップである。運営する一般社団法人tentenは、福島に移住・転入してきた女性たちの支援をしており、生活に役立つ情報発信、地域を取材するライターの育成、町歩きイベントの実施や地図づくりなど取り組みは多岐にわたる。およそ4.5m×4.5mサイズのentは、小さくも福島の魅力を伝えるメディアとして、そして多面的な活動の結節点として構想された。 福島駅から程近い、歩いて回れる範囲に飲食店や雑貨店が並ぶエリアに位置する。角地の1階にあることを活かし、2つの入口を設け路地を通す構成とした。カウンターは角に配置し、大きな窓によって町と直接繋がる。 路地に面するL字の壁には多様な商品がレイアウトされ、果物を使ったジャムや、伝統的な刺子の技術を使ったアクセサリー、陶芸作品など、それぞれの作り手のこだわりを表現することが求められた。混ざり過ぎてはいけないが、一箱ずつに分けると連続性が生まれない。そこで、商品の特性に合わせて幅や側板の高さを選び、ビスなしで誰でも組み立てられるコの字型の棚を作成し、それぞれが世界観を維持しつつ繋がるようにした。受けとなる壁には、福島の民芸である刺子のパターンのような穴をあけ、差し変えて自由に位置をカスタマイズできる。 シナ合板の棚と印象が近いヒバ材を建具や腰壁など内外で用いたり、また照明を全て屋外用の即物的なものにすることで、エクステリアとインテリアのあり方を近づけ、コントラストを薄めている。ふらっと立ち寄れる、町に浸透することを目指した。

チーム

メンバー

クレジット

  • 設計
    AMP/PAM
  • 施工
    ケーズプランニング
  • 撮影
    千葉正人

データ