storeというstyleをデザインする 大阪の南部・羽曳野市の元々飲食店だった建物をデリカテッセンのお店へ改修する計画である。 お店のコンセプトは 「 家庭の食卓をほんの少し chef がお手伝い 当たり前のように デリカテッセンをライフスタイルに 」 またクライアントからはカフェでもレストランでもない「store」をお題としていただいた。 私たちはまずstoreという概念をデザインで表現することを模索する必要があった。 storeは直訳すると店・貯蔵・備えなどの意味する。 店・貯蔵・備えとは商品やサービスを提供ないしそれらを準備する場所であることから、 デリカテッセンの食に関するイメージを先行させるのではなく、広義にとらえた「 場所づくり 」を前提とした 私たちのstoreという場所づくりに対しての回答はとてもシンプルである。 様式や時代背景がない、内外の概念もない、偶然にそこにデリカテッセンのカウンターがあり、それ以外は意図せず使われ方が変化していく場所である。 時にものに溢れ・時に整然とする。 少しした小上がりに腰をかけたり、商品が置かれたり、時に子供が寝そべる。 おしゃべりしたり、購入したデリを食べたり、読書したり。 様々に変化していく場所でサービス(時間と商品)が提供される。 モルタル・塗装・ステンレスをメインマテリアルとして用い、各部のディテールによってそれらは当たり前に私たちが目にする見え方から少し異なるstoreを構成するに大切なマテリアルへと変化する。 また、庭を内部に引き込むことでさらに内部空間としての使われ方や意図を曖昧にし、そこにstoreという場所があるだけとした。 家形の建築に対してスケールアウトした開口を設けたのも、 都市型の閉じられた建築をシェルターとしての場所から解放し屋根がかかっているだけの場所としたかった為である。 また色をすべて黒で塗りつぶすことで色による様式の認識を希薄なものとする為である。 このstoreというstyleの場所にはTHE BAKE STOREによるコーヒーの香りが漂い、美味しい食事が提供され、 お買い物をする場所という感覚よりも沢山の方々が各々自由な時間を過ごされるおおらかな場所が実現された。 この場所のあり方こそがお店のコンセプトにもある日本では馴染みのないデリカテッセンを世に認識していただくに必要な「デリカテッセンをライフスタイルに」を実現すると考えている。
メンバー
クレジット
- 設計
- PROCESS5 DESIGN
- 担当者
- 武田憲昭、吉澤生馬
- 施工
- インターテック
- 構造設計
- U`plan
- 撮影
- 山田圭司郎(YFT Yamada Foto Technix)