クライアントのKさんは旦那さんがグラフィックデザイナー、奥さんも誰もが知っている日用品・雑貨を売るお店で働いており、持ち物について自分たちなりの審美眼を持ち、新居に必要なものについても楽しみながら買い揃えていくという話が設計中にあった。なのでそれらがうまく映えるような自由な空間と、それらが崩れていかない適度な規律がある家にするのが良いかと思った。 場所は六甲駅からは緩やかに坂を登っていく途上に比較的小規模で、アプローチも中庭があって住戸内にも3面に窓があるようなゆったりとしたマンションだった。 プランとしては中央に水周り機能を置いて通風の改善をしつつ回遊性を持たせ、 外壁の内部に面する壁面の襞と中央ヴォリュームの外周面に襞を作ることにした。 前者はあらかじめ決まっているような機能(キッチンやソファ)や住まい手が自由に機能を追加できるような襞として考えて計画している。 これに対して中央ヴォリュームは空間に規律を持たせるようなものにするべくドア枠や収納枠、収納用のレールを一度、機能外して等価に並べてバラバラにして、空間の中に一定のリズムを作るようにチークの線材として再配置している。

クレジット

  • 設計
    田中裕之建築設計事務所 家具:ハウスオブフェールトラヴァイユ
  • 担当者
    田中裕之、花塚紘紀、石山一紀
  • 施工
    バター
  • 撮影
    長谷川健太

データ