港南台のほいくえん

ビルディングタイプ
幼稚園・認定子ども園・保育所

DATA

CREDIT

  • 設計
    ピークスタジオ 一級建築士事務所
  • 担当者
    佐屋香織、藤木俊大、佐治卓
  • 施工
    大同工業株式会社
  • 撮影
    高橋菜生

港南台の森の近くにある保育園です。自然の恵みで子どもたちを育て、保育士、保護者、地域の方々が協力して子どもたちと向き合うことをコンセプトに、公園内に地域に開かれた「地域交流スペース」を企画した。保育士の働きを理解し、地域の人々とつながる場として、新しい幼稚園をつくることを目指した。 敷地は、港南台駅から徒歩10分ほどの住宅地で、交通量の多い道路に面した共同住宅の1階部分ですある。近くには、公園があり、日中は天気を問わずに毎日遊びに行くため、子どもたちが通る道中の家々やお店の方に、保育園について、理解と愛着を持ってもらう必要があった。そのためのきっかけとして、地域と保育園をつなぐ、交流スペースを設ける計画とした。 前面道路に面して「地域交流スペース」を設けた。そこは、朝晩は子ども達を送迎するエントランス、日中は地域の人が立ち寄れるサロン、そして、イベント時には保育室と一体利用できるステージとなり、保育と地域をつなぐ場所となる。また、既存の建物は上階の賃貸住宅の住戸割を受けて、1階には柱が多く落ちてきていた。そのため、柱の位置を利用した門型フレームをつくり、それを連続させることで、保育室にリズムを与えた。道路から、地域交流スペース、そして、門型フレームの中に保育室が見える、段階的な開き方とすることで、保育を地域社会から乖離させない建築を目指した。 子どもたちが触れる部分の仕上げは、自然素材を積極的に使用する計画とした。 保育室の床は杉の無垢フローリング、トイレの床はリノリウム、門型フレームは杉の外壁の仕上げも焼き杉を使用し、建具等にも積極的に無垢材を採用してる。 また、門型フレームはの柱型の中に、子どもの手洗いやスタッフ用のSKシンクなどを押し込み、保育室としてスッキリした設えにした。既存窓はアルミサッシで、その外側には駐車場があり、景色としてはあまり良いものではない。そこで、既存のアルミブラインドを活かし、室内側に木製の格子をつくり、アルミサッシの存在感を消すことを試みた。 地域に徐々に認知されてきた保育園。公園で出会った小学生が来たり、近所の大人と話をする機会が増えてる。子どもたちは少しずつ慣れてきており、できることが増えてきた。 安全や防犯を考慮して多くの保育園は閉鎖されがちだが、この保育園のデザインは地域に開放されており、地域交流スペースの計画はさまざまな交流を生み出し、その中での発見がある。 子どもたちの環境や育児を取り巻く状況は変化してる。そして今日、自然を知らない子供たちが多すぎる。自然の恵みと厳しさの中には、子どもたちの五感を大いに刺激し、好奇心と好奇心を育む環境がある。人類の重要な基盤である子供の頃、建築の面からも自分を信じる力を育てたかった。子どもと遊んでいるだけだと思われがちな保育士が自分の知識や経験を社会に還元することで、子どもたちと喜んで向き合う未来を想像している。

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