PROJECT MEMBER
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 407.59㎡
- 竣工
- 2020-06
CREDIT
- 設計
- 一級建築士事務所 大城禎人建築設計事務所
- 担当者
- 大城禎人
- 施工
- 株式会社 屋島組
- 構造設計
- 宮里尚志 / Lifetect一級建築士事務所
- 撮影
- 鳥村鋼一 / 株式会社鳥村鋼一写真事務所
本計画は設計者の両親、弟世帯、設計者が住む3世帯住宅である。 RC造で1階はピロティ形式の駐車場、フロア毎に世帯を分けた沖縄で多く見られる形式の住宅である。 計画地は沖縄本島中部の新興住宅地にあり、敷地周辺にはピロティ形式の中高層の集合住宅が建ち並んでいる。車社会である沖縄のピロティ空間は駐車場としての利用が目立ちと街並みとして豊かであるとは言い難い。 また、車両の出入りや駐車スペースの確保を重視したメガストラクチャーがつくるピロティ空間はヒューマンスケールから逸脱しており、人間のため空間とかけ離れていると感じる。 これまで量産型の沖縄建築を再構築し、街並みと住空間を豊かにする沖縄における標準的な中層建築を目指した。 これらの課題の解決策を考えた結果、 「短スパングリッド」、「逆梁」、「オーバーハング」という一般的な工法を最大限に生かした建築を目指した。 1つ目は3.2×3.6mの短スパングリッドとしRC造では細めの400mm角の柱が並ぶ列柱空間とした。短スパングリッドにすることで間口方向に2スパン、奥行方向に3スパンとれるので構造上必要な耐力壁を建物の中央に配置することができ外周部に3面開放しつつも構造バランスのよいピロティ空間となった。住宅部分の耐力壁は水廻りや階段廻りに集約し居住部の可変性に配慮した構造体としている。 400mm角の柱は家具の一部となり、空間を緩やかに分節し、緩やかに視線を遮り構造としての柱だけではなくインテリアの要素としての柱として重要な役割を果たしている。 2つ目は梁を逆梁とし、梁型の無い重厚感のあるコンクリートスラブの連続と列柱の相互作用により視覚的な広がりと奥行きのある構造体となった。 住戸部分はフラットな天井をそのまま活かして天井下地を省略し、逆梁によって生まれた床下空間は設備の配管スペースとして活用し、4階の弟世帯では逆梁の形状を生かした床段差を設け空間に変化を与えた。 3つ目は2〜4階のボリュームを1.3m程オーバーハングさせ列柱空間の内側と外側で異なる性質の空間をつくった。 地区計画による1mの外壁後退によってできる敷地の余白を最大限活用するために、柱の位置は外壁後退ラインよりもさらに1.3m程度セットバックすることでゆとりのある空間を確保しその部分を緑化し、無機質な駐車場にならないよう、街に開いた庭のようなピロティ空間を目指した。 住空間ではオーバーハングした部分の要所にベランダを設け日射所得の低減、プライバシー及び窓のメンテナンスに配慮した。