ARTBAY HOUSE

ビルディングタイプ
ギャラリー

DATA

CREDIT

  • 設計
    萬代基介建築設計事務所
  • 担当者
    萬代基介、板谷優志、田村聖輝
  • 施工
  • 構造設計
    佐藤淳構造設計事務所
  • 撮影
    yasuhiro takagi

自然が通り抜ける建築 東京都や地元企業などが主体となり、臨海副都心のアートによるまちづくり「ARTBAY TOKYO」というプロジェクトが立ち上がり、その最初の事業として公園の中にアートスペースをつくることになった。展示、ワークショップ、カフェなどの様々な活動の拠点となる施設である。 敷地は人工的な埋立地であるが、ビルの間から吹き抜ける海風や古い防波堤に自生する植物など、隙間を見つけて入り込んでくる自然があった。そこでこの場所の自然を纏うような建築をつくることにした。 まず展示のためのホワイトキューブを解体して、隙間から自然が入り込むような構造をつくる。 日光や雨の入ってくる屋根、海風の抜ける壁、雨の浸透する床、樹木が貫通する床など、壁・床・天井あらゆる方向からこの場所にある自然が入り込む、環境の違う8つの部屋を配置した。 それぞれの部屋は一つ一つは不完全であるが、集合することで互いに補完しあうようなものとして設計している。隣接する屋根が思わぬ影を生み出したり、冬の北風を防ぐために北側に壁の多い部屋を集めたり、支え合う関係性を仕込んでいる。建築の構造も同じ考え方で、部屋単体では成立しないような弱い構造をバランス良く集合させることで支え合う構造としている。寒い日には陽だまりで過ごし、暑い日には風通しの良い場所を選んでくつろぐような、不自由さを楽しむ建築である。 人工的なこの街では、不確実でコントロールされていない環境にこそ価値がある気がしている。訪れるたびに違う表情を見せる光と樹木の中で、自然に身を任せ、自然と人間の新しい関係を発見するような場所。アートための真っ白い空間にこの場所の自然が重なり合うことで、この場所でしかできない新しい価値が発見できることを期待している。

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物件所在地

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