本山の自邸

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    阿部悠子設計アトリエ
  • 担当者
    阿部悠子
  • 施工
    エバーフィールド
  • 構造設計
    建築食堂 白橋祐二
  • 撮影
    YASHIRO PHOTO OFFICE
  • 照明計画
    IN THE LIGHT 野口雄一郎
  • キッチン
    田中工藝 田中智也
  • 植栽計画
    古閑舎 古閑英稔

設計者の自邸。 約40坪の広くない敷地に、祖母、父母、子ども2人、2世帯5人の暮らす住宅と、設計者のアトリエも構えるという、少し欲張りな計画。 計画地周辺は昔ながらの住宅密集地。高齢世帯や空き家が目立ちはじめ、熊本地震以降、マンションや店舗、病院などの中規模建築が混在して建つようになった。計画敷地西側にも長年放置された空き家があり、北側前面道路以外はぐるりと老人ホームに囲まれている。周辺環境の変化を予測しづらい敷地において、近隣と一旦距離を置くために、敷地いっぱいに閉じた家型のボリュームをつくり、その中に細長い中庭を設ける計画とした。 幅一間の小さな中庭は、住宅とアトリエのアプローチを兼用している。 壁で囲まれ、プライバシーを確保した1階の中庭と繋がるように、内外を一体に感じられる玄関ラウンジを設けている。1階は洗面・トイレの水廻りをコアとして、回遊できる動線の中に、庭を眺められるガラス張りの浴室、家事のできる階段下カウンター、祖母が寛げるラウンジなど、小さな居場所を埋め込みながら、限られた空間で、2世帯が気づまりにならない工夫をしている。 一方、2階レベルでは、中庭の外壁に防火設備となる開口部を設けることで、一旦閉ざした周辺環境と、中庭を介して繋がる。フレーミングされた周辺環境をインテリアのように室内に取り込み、広がりのある、明るい空間をつくっている。また、中庭に面してLDK、寝室、こども室を設けることで、どこにいても外部との繋がりを感じることができ、更に中庭を介して、離れた部屋から家族の気配も伝わる計画としている。中庭の外壁は、延焼ラインを切る防火壁として機能しており、中庭に面する諸室の開口部は防火設備の縛りなく、大開口の高断熱既製サッシの採用を可能にしている。 壁に囲われた中庭と、中庭を介して開かれた開口部によって、周辺環境から住宅内までが重層的に繋がっていく。住宅密集地においても、光や風、緑を生活の中に取り入れ、更に雑多な周辺環境さえ美しく感じられる、のびやかな暮らしを叶えている。 エネルギー性能 UA値 0.54W/㎡K 断熱仕様 屋根断熱 セルロースファイバー(デコスドライ工法)240mm 壁断熱  セルロースファイバー(デコスドライ工法)105mm 基礎断熱 押出ポリスチレンフォーム 50mm 窓    アルミ樹脂複合サッシ(一部防火設備) ガラス  Low-E複層ガラス 設備仕様 空調   壁掛けエアコン (1台 / 階) 給湯   エコキュート + 太陽光発電 換気   1種換気(マーベックス) 空気循環 全熱交換機

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