
PROJECT MEMBER
敷地は兵庫県丹波篠山市に位置する田園風景が広がる豊かな環境。大沢城跡をはじめ、周囲に遺跡が点在し、今なお同じ苗字の方々が住み続ける集落である。山間の谷間に位置し、眼前には水路が流れている。この地には、古代に湖が広がっていた伝承がある。それは不思議と納得のいく風景が広がっており、本計画では自然と戦い、寄り添いながら里山を形成してきた歴史を持つこの地に、新たな時を刻む建築の姿を想像した。 昔から湖の上に建っていたような人工地盤を持つ住まいをつくる。浮遊感のある土間スラブを覆うように、大きな軒下空間の中で内部と外部を一体的に設計した。夫婦と子どもが新たな生活を営む為に必要な水回りや個室を最小限にまとめ、人工地盤の上に少し振りながら配置した。残った余白をリビングや玄関、洗面スペース等、それぞれに適したボリュームとして活用し、用途に適した天井高さを与える。リビングは開放的に、洗面スペース等は最小限の高さとして計画した。この構成により南北に高さを抑えた勾配を持つ屋根と、それぞれを繋ぐことで生まれる東西に捻った屋根を持つ住まいが立ち現れたていった。平屋のようなプロポーションと捻った大きな屋根は、周囲の民家や山並みに呼応する。大きな軒下空間を支える耐震壁を外周にバランスよく配置し、壁と壁の隙間には、周囲の豊かな環境を暮らしに取り入れる事が出来る大きな開口部を設けた。光や風、水の音、四季、風土を感じながら周囲の風景が暮らしに溶け込み、彩りを与える。また、数十年後の近未来では、建て替えを含めた新たな計画が生まれてくるはずである。その際、必ずこの人工地盤は、周囲の環境を含め、無視できない強いコンテクストとして、未来の設計者が歴史を踏まえ計画していくだろう。 山々と田園風景、そして水路として存在するかつての湖と新たなこの建築の関係が時間を超え、はるか太古からそこに佇みながら応答してきた建築として、過去、未来の里山の姿を示していけるのでは無いかと考えた。