この建物は、本陣駅近く外堀通り沿いに位置し、1階に内科の診療所、2階にはメディカルフィットネスを併設している。「ヴェルヴァーレ」はノルウェー語のvelvære（身体的・精神的・社会的な健康、およびそれを目的とした選択や活動）が由来であり、クリニックを治療の場としてだけでなく、地域住民の健康に寄り添う場としたいという院長の思いが込められている。そこで、建築自体も地域の人々を健康的で前向きな気持ちにさせられるような構えとすべく、積極的に緑を取り入れる計画とした。軒下の緑は大通りを行き交う人々を惹きつけ、無機質な都市の街並みに潤いを与える。内部からは寄棟屋根の軒先が景色を絞ることで、木と緑を感じる落ち着きのある空間となっており、人々はまるでリゾートのような空間で自然の緑に癒されながら健康増進に励むことができる。緑が茂る軒下空間が内と外の間を取り持つことで、透明性の高いファサードが形成されていながらも、ダイレクトになりすぎず内部の営みが街に溢れ出すことを可能にしている。
