大規模マンションの1室の改修計画です。 クライアントは夫婦2人暮らしで、休日は友人を自宅によんでパーティをするなど、外からの来客に対応できるような広いリビングルーム、料理上手な奥様の為の広いキッチン、モダンな和ホテルのようなデザインを希望されていました。 2000年ごろに建てられたこのマンションはもともと3LDKの間取りでした。 1部屋ずつ間仕切られているので各部屋が小さく感じられ、クライアントが望む生活スタイルには窮屈でした。そこで、共用廊下側の2部屋とトイレ、お風呂の水回りはそのままでテラス側に纏まっていたリビングダイニング、キッチン、和室と細かく分割していた壁をなくし、大きな1部屋へと作り変えることにしました。 間仕切り壁撤去の際に現れる、元々の床仕上げの切り替え部分や天井側に現れる梁や折り上げ天井、下がり壁などのレベルがまちまちの天井構成をもともとの空間の名残として残したまま、最低限の修繕にとどめることにしており、更にリビングダイニング、和室部分の折り上げ天井部分には新しく間接照明ボックスを組み込んでおり、広さを感じる天井になることを目指しています。 これらは大きな1部屋の中で、キッチン、リビングダイニング、和室と場所性が浮き上がる仕組みのように働いており、すべてを作り変えるよりも多層的で思いがけない空間の創造につながったようにも感じています。 この住宅改修では大々的にリノベーションをするというよりは、もともとの住宅を使いながら、必要のない物をなくす、最低限のの修繕、必要な機能の追加という最小限の計画を行うことで希望する住宅の姿へとなるように「チューニング」している感覚の方がしっくりくるプロジェクトだったように思えており、コスト的にも空間性でも可能性があるのではないかと思っています。

クレジット

  • 設計
    清水豪輝建築設計事務所 / 株式会社トリプルスリーアーキテクツ一級建築士事務所
  • 担当者
    清水豪輝 / 宇津木喬行
  • 施工
    有限会社小泉工務店
  • 撮影
    宇津木喬行

データ