Genesis 水に浮かぶ教会

ビルディングタイプ
教会・礼拝堂
3
110
イギリス England

DATA

CREDIT

  • 設計
    Denizen Works
  • 担当者
    マリー・ケール、アンドリュー・インガム
  • 施工
    Turks Shipyard、ANR Developments
  • 撮影
    ギルバート・マッキャラガー

デニゼン・ワークス設計により、聖コルンバ東ロンドン会のビジョンを実現させる為に誕生した“ジェネシス”:運河移動に合わせた広幅なナロウ・ボートを使用し、画期的な“動く屋根”を搭載した、移動型の〈水に浮かぶ教会〉である。 ロンドン教区の依頼による招待コンペに勝利したデニゼン・ワークスは、タークス造船所と造船技師トニー・タッカーとの密なコラボレーションをリードしながら、この新たなコミュニティ空間の完成を実現させた。〈水に浮かぶ教会〉は現在、リー・ナビゲーション運河上、ロンドンオリンピック跡地であるクイーン・エリザベス・オリンピック・パーク内に立つ複合施設、ヒアー・イーストの正面に係留中である。 “ジェネシス”と名付けられた本プロジェクトは、今後25年に渡り、東ロンドンの運河ネットワーク周辺で発展して行くコミュニティとの繋がりを生む、現代のミッションとして活動していく。機動性と適応性を兼ね備えた計画は、スウィートウォーター、イーストウィック、ハックニー・ウィックを始めとする、多様性溢れる地域が存在する東ロンドンの再開発地区にとって、様々な効果を長期に渡って与えるであろう。インテリアの設計は、教会としての機能はもちろん、地元の親子グループ、宗教の垣根を超えた催事、サパークラブ、ライブ音楽イベント、企業研修やワークショップ、カウンセリングなど、幅広い地域の活動やサービスに対応可能な、順応性のある空間となっている。 動く屋根のコンセプトは、教会のパイプオルガンのじゃばらから発想を得た。折りたたみ可能な半透明の帆布は手作業により形作られた。更に、LEDライトが縁取るように施され、日中はじゃばらを通し柔らかな自然採光を取り入れる一方、夜はそのもの自体がぼんぼりの様に光を放つ。搭載された水圧式アームにより、屋根が完全に上がりきると、天井高は、一番高い点で3.6mとなる。これはドラマティックな内部空間を演出すると同時に、運河に佇むその独特のシルエットは、道行く人の目を引くものとなる。 この開放的な集会スペースは、着席時には40人、船の静止時には最大60人の乗客を収容できる様設計された。洗練されシームレスな内装は、明るい合板仕上げの壁と緑のリノリウム床に、ヴァルクロマット装飾パネルで形成された作り付けベンチと、海洋船舶用の照明で構成され、親しみやすく心地よい雰囲気を演出する。 カスタムデザインの合板のスツールと折りたたみ式テーブルは、ローカルの家具デザイン会社、プライコによるもの。パブリックへのイベントやサービスなど、用途に合わせた使い方ができ、不要な際には船のデッキ下の隠れたスペースに収容できる。祭壇のデザインはデニゼン・ワークスによるもので、角度をつけた正面のデザインは、まるで船の先端を彷彿とさせる。こちらも、フラットに折りたたみ、簡単に収納が可能だ。 帆布を縫い合わせるステッチは、船内インテリアのいたるところに、モチーフとして取り入れられた。例えば、アルミニウム製の窓のスクリーンは、ステッチの形状を取り入れながら、教会建築で用いられる内陣仕切りから発想を得て施された。更にキッチンのタイル、カスタムメイドの家具の脚にまで、このモチーフが使われている。外装の動く屋根を取り囲 む屋根上部にも、同じ様なデザイン言語が、ローカルのサイン計画作家により描かれた。様々な活動に柔軟に対応できる様デザインされたジェネシスは、個人での貸切から地域の学校による使用まで、幅広く使われる事で、自己持続性を持ちながら、コミュニティにとって特別な存在になるだろう。

物件所在地

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