JR卯之町駅舎

PFIによる駅前再開発事業の一環として建て替えられた駅舎である。 初期計画段階では既存駅舎の改築であったが、JR四国の無人化促進に伴い、無人駅を新築計画することとなった。 駅の利便性を図るためにロータリーを設けつつ、JRの保線エリアを確保したために、駅舎として計画できるスペースはわずかな三角地しか残されなかったが、その小さな敷地には大きな期待が詰まっていた。 明治・大正時代を思い起こさせる開明学校と重要伝統的建造物群保存地区のある「なかんちょう」と呼ばれる街区。昭和の街がそのまま残る商店街。そして通過交通の激しい国道56号線。道を南に一本ずつ順を追うごとに時代が更新されてきた宇和町は、その未来像をもう一本南の駅周辺に求めた。そして、はちのじを描くように回遊できる街づくりをしていこうとしている。 そして、できる限り西予市産の木材を使う。小さくても宇和町らしさを造形に活かしたい意見を踏まえ、長屋門やわらぐろをイメージできる外観を計画し、オリンピック選手村ビレッジプラザ・日本の材木活用リレーで使われた材を含め、西予市産材100%の駅舎となった。オリンピックから里帰りした木材は文字通りUターンしてきた訳である。卯之町駅舎は人も材料も西予市が受け入れるという未来へのメッセージを持った駅として生まれ変わった。

メンバー

クレジット

  • 設計
    株式会社齊藤正轂工房
  • 担当者
    齊藤 正 / 泉 秀紀
  • 施工
    株式会社下元工務店
  • 構造設計
    株式会社齊藤正轂工房
  • 撮影
    楠瀬 友将

データ

  • ビルディングタイプ
  • 構造
    木造
  • 工事種別
    新築
  • 延べ床面積
    98.66㎡
  • 竣工
    2022-10