BHAVAN

ビルディングタイプ
アパレル・雑貨

DATA

CREDIT

  • 設計
    StA
  • 担当者
    須谷悠希
  • 施工
    八田人造石
  • 撮影
    古川誠

島根県松江市にオープンした、セレクトショップ「BHAVAN」のファサードデザインである。店舗は、松江駅からほど近い、飲食店が立ち並ぶ中心市街地のアーケード通りに面している。既存のテナントは、元々小さな書店の跡地で、テナントに隣接するコーヒーショップのバックヤードとして使われていた。クライアントであるコーヒーショップのオーナーから、新規事業としてテナントを改修し、セレクトショップとして活用したいと相談を受けた。クライアントからは、セレクトショップを軸に、ギャラリーやイベントスペース等、幅広いシーンに対応できるような場にすることと、お店は洞窟のような雰囲気にしたいと要望された。 テナントの構造上必要な耐力壁、開口部、設備納まりといった制約の中で、街やアーケード通りとつながる「ファサード」でありながら、シンプルな操作によって場が切り替わるような「建具」の在り方を検討した。 その結果、厚みや奥行きを感じる、石の塊のようなファサードとなった。ファサードの外壁ラインをセットバックさせつつ、立体的で重厚なファサードを作り出し、店舗内外を自然素材の左官で一体的に仕上げることで、通りから店内の奥行きを意識させるようなデザインとした。立体的なファサードの一部は、人が腰掛けられる高さに塊をつくった。それはベンチやイスといった姿ではなく、ただの塊として存在するが、腰を掛けてテイクアウトしたコーヒーを楽しんだり、イベント時に活用する等、使い手によって利用シーンが直観的に喚起され、ファサードから通りに賑わいが滲み出していくようなデザインを心掛けた。 また、内外を仕切る建具は、引き込み戸+引き込み窓からなる変則的なかたちとした。建具を全て閉じると店内の印象的な風景が横長に切り取られ、全て開けると L 型の大きな穴が現れる。建具を開け放つと、外部へとつながった洞窟にいるような感覚になる。 「セレクトショップ」というお店の枠を超え、様々なひと・もの・ことが集まる、松江の新たな賑わいの場となることを期待している。

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