IMAGINE.COFFEE SUNAGODA

「IMAGINE.COFFEE」は、島根県松江市に店舗を構え、スペシャルティコーヒーを専門に焙煎しているコーヒーショップである。老若男女問わず、地元住民や観光客が数多く足を運び、茶の湯文化が根付く松江の賑わいスポットとなっている。「IMAGINE.COFFEE SUNAGODA」は、島根県出雲市に新たにオープンした、IMAGINE.COFFEEの新店舗の新築プロジェクトである。 敷地は、出雲を象徴する「北山」が連なる、雄大な出雲平野に位置し、敷地南の眼前には、桜並木が立ち並ぶ、長閑な「緑地公園」の風景が広がっている。 「IMAGINE.COFFEE SUNAGODA」では、目の前に広がる緑地公園の心地よさを最大限享受しながら、地域の人びとが気軽にコーヒーを楽しめる場となるよう、建築は、東西へ細長いシンプルな木造平屋の構造・仕上げとし、公園の中に佇む東屋のように、軒の深い切妻の屋根を持つ、開放的で素朴な姿とした。 開口は南北とし、北面は開口を絞り、メインアプローチと北山への眺望を意識させ、南面は開口を連続して設け、公園への眺望と明るいカフェ空間を確保した。内外を仕切る建具は、現しとなった柱間へ素直に落とし込み、南面の建具のその先には、地盤から 500mm 程度持ち上げた縁側を設け、深い軒の下で腰を掛け、コーヒーを飲みながら公園の風景を眺めることができる。 カフェ客席空間は、垂木を現しにした天井の高い空間の中に、コンクリートスラブの床にカウンター・窓辺のベンチを配置した「土間」と、縁側と床レベルを合わせたフローリングの上に、大きな楕円のテーブルを配置した「板間」からなる。床レベル・仕上げ、家具の形、柱・梁の配置といった最小限の操作によって、大きい気積の中に「土間」と「板間」といった雰囲気の異なる2つのエリアを生み出している。また、土間とフローリングの床段差の納まりも土台現しとし、全体として、建築の成り立ちが感覚的に解るような構成としている。 この建築を通して、より多くの人びとが、「北山」への眺望や、「緑地公園」の長閑な風景といった、見落としてしまいがちな、何気ない身近な風景の豊かさや魅力と再び出会い、日常の中にあるささやかな美しさへと目を向ける契機となるようにという思いで、「IMAGINE.COFFEE SUNAGODA」を手掛けた。

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クレジット

  • 設計
    StA
  • 担当者
    須谷悠希
  • 施工
    藤原木材産業
  • 撮影
    古川誠
  • 左官
    八田人造石
  • 家具
    AXCIS CLASSIC
  • 共同設計者
    馬庭建築設計事務所

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