PROJECT MEMBER
中国、上海虹口区に位置する1920年代に建てられた3層長屋の改修計画です。 この建物は、租界時代に多くの日本人が居住していた連続長屋の一角にあります。歴史建造物であるものの、周囲が密集し室内が細かく区切られ、暗く風通しの悪い住環境でした。そこで元の材質や構造を維持しつつ、北側に大きな吹き抜けを設けることにより、築100年の建築に光と風、そして新たな生活を取り込みました。 南面屋根には開閉可能な天窓を設置し、吹き抜けを介して地上階にまで自然光を導きます。新設した鉄骨の階段は天窓と同じ軸上に配置することで、上階へと続く光へ向かう体験を生み出しました。階段側壁面は1階から3階まで薄灰色のスタッコ仕上げとし、天窓からの光を室内全体に拡散させる反射面となることを期待しました。一方対面の壁面には、既存木材の色合いに調和するよう本棚やキャビネットを配置、これにより室内に明暗のコントラストが生まれ、刻々と変化する光をより鮮明に浮かび上がらせます。