Concrete Shell House

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    IKAWAYA建築設計
  • 担当者
    井川充司、南原良祐
  • 施工
    栄港建設
  • 構造設計
    yAt構造設計事務所
  • 撮影
    川辺明伸

包まれる庭 東京都心にあるこの敷地は、間口9mに対して奥行きが26mと長く、前面道路が走る北側以外、3方を隣地の建物に囲まれている。建主はここに、コンクリート打放しの家族を守る堅牢な家を希望した。そこで、斜線制限や高さ制限内で最大気積を確保した「殻」(=コンクリート)をつくり、風通しや光、眺望を取り込みたいところに「孔」(=庭)を開けることにした。防火壁となる殻で囲むことで、孔に向けて非防火設備の大開口サッシで開くことができる。 孔には、隣接する室に関係した性格の違う庭を設けた。地階には光と風を取り込む庭、1階にはどんぐりや茶花が咲く庭、2階には野菜、果物、ハーブなど収穫できる庭と和庭、屋上には殻を破ることで生まれた眺望を得られる庭を配置した。そして、それぞれの庭を外部階段で繋いでいく。内部と外部を交互に移動できる動線によって、庭と室内が4フロアに渡って立体的に混ざり合い、生活と庭の密接な関係性をつくり出した。 敷地奥南側には、シンボルツリーとして高さ7m、樹齢40年のカシの木を植えている。建物が建ってしまうと庭に運び込めないため、基礎工事が始まる前に植樹した。シンボルツリーは工事段階からこの家を見守っていると言える。 殻には外断熱工法を採用している。熱容量の大きなコンクリート壁は、室内の温度変化を滑らかにする。また、内外壁共にコンクリート打放し仕上げとすることで、内外は連続して感じられるようにした。この一体感を保つために、カルバート構造を採用。奥行き方向を区切る間仕切り壁のないトンネル状の空間とした。明るく開放的な庭をも包み込む、強さと、優しさの両面をもつコンクリートの堅牢な家が実現した。

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