Matsushita IMP Building

<過去と現在と未来の調和> 築33年のオフィスビルである松下IMPビルの、低層階商業エリアのリノベーションプロジェクトです。 この建物は1980年代後半からの日本経済の好景気の中で計画されたもので、高価なマテリアルやきらびやかなインテリアを施した空間が特徴的でした。しかし、そこに人々の姿はまばらで豪華な空間とのギャップがあたかも取り残された孤島の建築のようで、そんな空間の意匠性を活用しながらも、いまとこれからの時代に調和し活性化する空間とするに事に注力しました。 今後、巨大な建築を大規模に改修するような事は少なくなり、部分的でありながらも効果的にリニューアルをし、過去の時代性を利用しながら、現在と未来の時代性を調和させ活性化させていく事が多く求められると考えています。 <商業空間を働く場に> コロナ禍で多くの企業がオフィス外で働くことのできる環境を整備していく中、商業エリアの共用部に働く場を設え、新しいワークスタイルにフィットする商業オフィスビルのあり方を模索しました。 誰でも自由に使用できる場とすることで、平日は主にビル内外のオフィスワーカーの働く場として、休日には観光客が足を休める休憩スペースとして利用して頂ける場としました。 そうすることにより、取り残された空間ではなく人々が集い現在に生きる空間へ、また未来を描くことのできる空間へと変貌することができました。 このビルには以前に計画された駅が現在も地下に残っていることから、かつての計画のように人々が集まる拠点となることを願い、駅をデザインモチーフとしました。 施設全体に多層階に渡って伸びる丸柱には、力強いモルタル調の仕上げと金物のフレーミングを施し、駅のような列柱空間のベースを作りました。西側の吹抜けではこのフレーミングが駅のアーケードのように連続するアーチ型となり、R天井と呼応することで吹抜けとの一体感を生んでいます。 その中に、ビルの近隣に建つ大阪城の黒/ゴールド/緑青の色、石垣/梅の形をFF&Eと造作に取り入れることで、この土地が400年前から遺伝子的に持つ記憶との親和性を持たせました。

チーム

メンバー

クレジット

  • 施工
    NOMURA Co., Ltd.
  • 撮影
    Masato Kawano (Nacása & Partners Inc.)
  • クリエイティブディレクター
    青野恵太Keita Aono (no.10, NOMURA Co., Ltd.)
  • デザイナー
    渡辺 淳 Jun Watanabe (no.10, NOMURA Co., Ltd.)
  • デザイナー
    三ツ江ほのかHonoka Mitsue (no.10, NOMURA Co., Ltd.)
  • no.10
    https://www.instagram.com/no.10_official/ / https://www.no-10.jp/en/works/details.php?id=144

データ