下北方の家02

宮崎市の中心市街地からほど近い、周辺エリア全体が埋蔵文化財地域に指定されているほど古くからの住宅街で、比較的ゆったりとした一戸建て住宅である。旗竿敷地の奥まった突き当たりにある。背後(北側)に小高い山(みどり)を抱いた裾部分に広がる住宅で、周辺には瓦屋根などの古くからある文脈で建てられている住宅も多い。 現代的な材料でメンテナンス性や断熱性を強化して快適性を底上げしつつ、周辺に対して違和感のない建築とした繊細なデザインとそれに寄りすぎないように、現代の生活にマッチングできるようにしている。 内部は中庭型のコートハウスのL型の建築で、様々な場所を散りばめた。作り付けのソファリビング、ダイニングテーブルと一段上がった和室の3つのスペースを天井の操作(挟み梁)や床のレベル、壁のデザイン、家具で分けている。特にダイニング上の挟み梁で木の線材としてリズム感と切妻の中心のある包まれ感を与えたいと思った。それらの操作と3つの場所に面した中庭で緩やかに全体をつなげ、一方で他の室との心理的な距離をデザインしている。敷地に対してさり気なく建ち、色々な素材を使用しているが、決して華美ではない素材のあり方を模索し落ち着きを持ちつつ、内部では変化のある多様性のある住空間になったと思う。