RaUA MiKoTo Law Office

クライアントの要望により、マハリシ•スターパティア•ヴェーダという古代インドから伝わる最古の建築学に基づいて建てられた法律事務所である。 平面計画により基準とする寸法があり、それを軸とした上でデザイン性を追求し、目に見えない箇所にまで徹底的に自然素材にこだわって作られている。 内部構成としては一階に会議室と瞑想室、ダイニングキッチンがあり、二階に執務室と作業スペース、さらにロフトに書庫を備えている。 会議室は会話が漏れ出ることはなく、限られた人の出入りしかないことを前提として、守秘義務の関係から壁で覆うべきところを透明のガラス張りとしている。会議室を使用する時間が限られていることもあり、使用していない時には全体を一つの空間、一つのインテリアととらえることができるのが魅力だ。 新型コロナウイルスにより、オフィスで仕事をすることの価値に変化が起きているが、コミュニケーション不足が招く問題も見過ごすことはできず、所員同士が時に雑談をして日常を共有することで信頼性を高め、効率よく仕事を進めることができる環境を整え、さらに知的生産性を高める空間を目指した。 所員の作業スペースは開放的な空間に家具が整然と並び、執務室には応接スペース、実務スペース、シャワーブースを備えている。ガラスを多用することで光が取り込まれ、開放的かつ所員の様子をいつでもうかがうことができる風通しの良い空間になっている。 無垢板のオーク材による家具はすべてオリジナルで制作している。 階段を介することで作業スペースとは適度な距離を保っているが、間仕切りがなく執務室へは自由に入室することが可能である。 2階が張り出した外観を活かし、2階の四方にある柱を取り除きガラスをはめ込むことで、このスクエアな空間から抜ける視線は伸びやかで浮遊感があり、柔らかい光が差し込む。外部からは軽やかな印象となっている。 また、はしごを使用してロフトへ上がるとトップライトの周りに設けられた書庫があり、2階の作業スペースが煩雑にならないようになっている。 事務所という作業効率の重要性が求められる空間において、それだけにとどまらない要素をふんだんに取り込んでいる。開放的で質の高い空間は来訪者にはもちろん、そこで働く人が心身ともに開放されるような感覚を覚える。それが良い方向へ作用されるような、これまでのオフィスのあり方を改めて考えるきっかけになる空間を提供できた。

メンバー

クレジット

  • 設計
    石川英樹建築設計事務所
  • 担当者
    石川英樹
  • 施工
    勇建工業
  • 構造設計
    MOV構造設計

データ