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加賀藩主の参勤交代ルートとして、多くの人や物資が行き交った旧北陸道に面する約築50年の町屋形式住宅をリノベーションする計画。 歴史的背景から周辺の家も道路に面してミセの構えを持っており、かつては賑わいがあったのだと想像できる。 ただ今となっては、商いをやっている家も少なくなってきている。 道路に面してオモテがある町屋形式の家が建ち並ぶ都合上、人の生活が道路から離れたところで営まれており、まちとして少し寂しい印象となっていた。 本住宅も道路境界ギリギリまで建ち、商いをしていたであろう構えをしていたが、駐車スペースの確保が必要であったので、道路面については大きく解体をした。 元々あった2つの中庭を「町に緑を提供する庭」と「住まい手が使う庭」として計画し、道路に近い中庭には玄関を設けて、道路から中庭までの動線を作った。 また、その中庭に面してダイニングを設け、道路面から人の生活の営みが垣間見えるような構えとしている。 道路→長いアプローチ→中庭→ダイニングといういくつかの層と距離を重ねることでプライバシーをゆるく確保し、生活を少しまちに開放する。 かつては賑わいを見せていたこの地域特有の、建ち方や暮らし方の一つを提案できたのではないかと思っている。
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