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リノベーションにおいて外観の重要性は大きいと考えます。内部を自由に変えられるとしても、外観を変更する場合には防水対策とコストが課題となります。SEABANKは幸運にも特徴的な外観を持っており、角の曲線や広い玄関テラス、屋根のデザインなど、多くの独創的なアイディアが詰まっていました。アルミサッシを全て複合サッシに交換するにあたり、非木造ならではの巻き込みの納まりによって程よい重厚感が生まれました。木製サッシの雨戸も良いアクセントになっています。 ■南側の土間スペース 玄関と一体になった土間スペースでは、ギャラリーのような壁の余白に日本のクラフトを感じる木製窓や造作家具を配置しました。内部が完成し、クライアントのアートやオブジェがその余白に飾られたとき、建物に命が宿ったような気持ちになりました。 ■海を見ながら料理する、こだわりを持った台所 最高のロケーションで夕方にはサンセットを楽しめる位置に対面キッチンを配置しました。キッチン天板の奥行きは水・油ハネを考慮して90cmとしましたが、一般的なステンレス天板は存在感が強すぎて厨房のように見えがちです。そのため、オーク材や白壁と調和するために少しグレーがかった人造大理石としました。対面式のもう一つの課題である換気扇フードについては、空間の中央にぶら下がる物体を避けるために壁にファンを埋め込み、特注のパンチングメタルでカバーを作りました。これにより、スッキリとした仕上がりを実現しています。 床は天板を意識したグレーのタイルを使用し、キッチン面の引出し引手は体を預けても引っかからないようにフラットに設計しました。さらに、幕板をインセットで納めることで家具らしい見え方を意識しました。ダイニング側のキャビネットと背面のカップボードは、建築と一体感を持たせるためにホワイトオーク材で統一し、取手の縦のラインを強調したデザインにしました。バックキャビネットの内部にはすべての食器、家電、冷蔵庫、ネット設備が隠れています。 鹿児島県日置市/専用住居/コンクリートブロック造平屋建/リノベーション/2023年竣工/建築面積105.18m²/延床面積91.81m²/有限会社タジケン /anagura