田町駅西ロエリアの新たな結節点となる「田町タワー」は、二棟の既存建物を解体し敷地を集約した上で、総合設計制度の活用によって街区全体の機能向上を図った計画である。東海道の玄関口であった札ノ辻に近く、現在なお日比谷通りと第一京浜が合流する交通の要所でもあるこの地で、歴史性と地理的な特徴を踏まえ、東京の玄関口に相応しいランドマークを目指した。 地下鉄三田駅とJR 田町駅をつなぐため、国道正面の大屋根の下に、地下2 階~地上2階にわたる立体的な駅前広場を整備した。地下鉄と2階デッキの歩行者ネットワークとを結び、駅周辺の回遊性と利便性の向上を図ると同時に、大屋根下のステップガーデンから近隣の本芝公園へと連続する広場や、2階デッキに設けたスペースなど、多様な人びとが思い思いに過ごせる都市空間を創出。一般的な総合設計による地上部の平面的な広場に留まらず、将来的な街づくりにより広域に貢献する都市空間を創出した。