World-Food Waste Teahouse アラビ庵

「アラビ庵」は、食品廃棄物問題や気候変動といった世界的な課題に対する建築的解決策を模索するプロジェクト「ベネチ庵」に続く第二弾のプロジェクトです。国境や文化を超えて人々をつなぎ、対話を促進するコミュニケーションツールとしてお茶を扱い、それが媒介する「茶室」となります。 「アラビ庵」の特徴は、ドバイの緯度(25度)を基調としたフレーム構成にあります。この角度を活かすことで、日射の適切な導入と遮蔽を実現しました。「ベネチ庵」同様、設置場所の緯度に合わせた普遍的なシステムをデザインに取り入れた、各地の固有性に応えたグローバルなプロジェクトとなっています。 ドバイでは、お茶に合わせてデーツなどのドライフルーツがよく供されています。これらの地域特有の食品廃棄物をフードコンクリート化し、ジョイントパーツとして使用しました。ここに、建築部材として再生紙とコルクを併用することで全体の軽量化を図り、部材の輸送時に生じるCO2の削減に貢献しています。 さらに、自然界に存在する物質であるケイ素を原料とした超越液(素材の内部まで浸透し、これを保護する液剤)と伝統的な漆塗りによる耐水処理を施すことで、本来、水に弱い素材に耐水性を与え、屋外でも建材として用いることを可能にしました。「アラビ庵」では新たな技術を用いて、屋外での素材活用の可能性を大きく広げています。 「アラビ庵」は、展示期間の終了後、分解し、家具として再構成できるようになっています。ブロックチェーン技術を活用して部材のトレーサビリティを確保し、所有者が愛着を持って手を加えられる家具として生まれ変わります。 「ベネチ庵」から始まった、この「アラビ庵」での取り組みは、恒久的な建築空間におけるフードコンクリートの活用に向けて、継続して研究が進められています。

メンバー

クレジット

  • 設計
    株式会社三菱地所設計
  • 担当者
    藤貴彰(tyfa/Takaaki Fuji+Yuko Fuji Architecture, 三菱地所設計) / 稲毛洋也(三菱地所設計) / De Yuan Kang(三菱地所設計アジア社)
  • 施工
    セルフビルド
  • 撮影
    Takuya Seki

データ