PROJECT MEMBER
この住宅は、夫婦と子供四人が暮らす住宅である。 敷地は沖縄県中部に位置し、商業施設や住宅が密集するエリアにあるが、敷地の周辺には畑や公園が残されており敷地の東側には開発から取り残された大きな緑地帯が広がっている。また、敷地周辺の地形は起伏が多くこの敷地も北、東、南を高い土地に囲まれている。 建主は建築が好きで特に阿部勤さんの『中心のある家』が好きなので、自分達に合う『中心のある家』を設計してほしいことや、建物や間取りだけでなく周辺環境との関係も考えて欲しいことを要望された。 打ち合わせは家族全員が参加し、意見を出し合いながら進んでいった。打ち合わせを重ねていく中で、中心には特定の用途のある部屋を作らずに様々な活動が許容できる庭を住宅の中心とし、その庭を囲むように家族それぞれの居場所を住宅のあちこちに点在するように配置したらどうかと考えた。また、敷地の3方向を高い土地に囲まれていることは通常の住宅地ではデメリットになることが多いが、高い土地が自然の壁となり台風などの暴風から建物を守れるメリットもあり周囲の視線にさえ注意して開口を設ければ開放的な住宅を作りやすく、東側にある開放的で大きな緑地へと住宅が開いていくような計画とした。 室内は玄関からほとんど仕切りのないワンルーム空間になっており、様々な家族の居場所が見え隠れしながら連続していく。そしてそれぞれの居場所は中心にある庭へ開かれ庭は広く抜けのある緑地へと繋がっていく。また、仕切りのない連続した空間が単調にならないよう各居場所の性格に合わせて天井の高さや床のレベルに変化を持たせ、色々な方向に視線の抜ける大小様々な窓を設けた。囲まれた住宅地の中で、中心に庭を持つ開放的な暮らしが建主の理想の住まいへと育っていく事を願っている。