宮城県指定の大規模集落に佇む木造平屋建ての住まい。敷地は南北に細長い休耕地の一部を活用。休耕地を3分割し、最北の1/3に当たる角地を開発許可と農転許可で宅地化した。 農家住宅における「田の字プラン」というのは主に中部地方に多いが、東北地方ではその四部屋を間仕切りで「田」としては分割せず、ガランとした「広間」として普及していた。その名残は「最低でも8帖」のような広さを求める意識や傾向に引き継がれ、本件はその形式を応用した。 実際ご要望も”できるだけ広く”で、なおかつ、”できるだけ部屋数も”とのことで、コストバランスに工夫を要したがここで採った解法はシンプルである。まず廊下をなくす。そして玄関やキッチン、テラスや寝室、水廻りが納められた機能的空間(小間)を、ガランドウ(広間)を補完すべく、ぐるりと回廊状に取り囲む。こうして「ロの字プラン」が誕生した。 小間に囲まれたプライバシーの高いガランドウは東に高窓を有する高天井で、南面の日差しを遮るインナーテラスや片付けが苦手ということでご所望された上部の大容量ロフト、機能限定の各居室などに廊下を介すことなく有機的につながって効率的に生活をサポートする。将来の在宅ケアや家族構成の変化においてもバリアフリーで立体的にサポートしてくれる余力を備えた住まいである。 ※外構、造園などは暮らしながら設えられるよう施主に委ね別途工事とした。

メンバー

クレジット

  • 設計
    前見建築計画一級建築士事務所
  • 担当者
    前見文徳
  • 施工
    若生工務店
  • 構造設計
    有限会社大賀建築構造設計事務所
  • 撮影
    前見文徳

データ