和菓子司KAMATARI

「街の中の床の間」 大阪府高槻市摂津富田の和菓子店舗を改装するプロジェクト。店舗はJR摂津富田と阪急富田駅の間に連なる賑わいのある商店街の一角にある。元々和菓子店だった店舗を借り受けて、新たな和菓子屋として開業するということで、歴史の継承を感じさせる要素、活気のある商店街の雰囲気、新たな和菓子屋として格式があり、商品の引立つ店舗デザインが望まれた。  そこで、商店街の賑わいと格式を同時に実現させるために、和室を引立てる床の間のように商店街を引立てつつ、お店も同時に引立てるような「街の中の床の間」のような空間をつくれないかと考えた。具体的には、入口部分に開放できる2枚の引戸、ベンチと一体になった窓、店内まで一体となった庇を設けることで、商店街とお店を繋げるように計画した。これによって、窓を閉めればお花を飾ることで床の間のような空間を、窓を開ければお菓子を買った人が一休みできる憩いの空間を実現した。 同時に、これらの空間要素をより活かすために、水平要素のみ艶有塗装とし、それ以外を艶消し塗装とすることで、周辺環境や商品が際立つようなデザインとした。 店内については、使い勝手に配慮してできる限りシンプルにし、色数を減らすことで商品が映えるデザインとした。また、前のお店から受け継いだお菓子の木型を、間接照明と合わせて、入り巾木として用いることで、歴史を感じさせる意匠とした。 このようなデザインとすることで、一つの店舗の変化が商店街全体に影響を与えるような空間になることを目指している。

クレジット

  • 設計
    梅岡設計事務所・山田美紀一級建築士事務所
  • 施工
    相互住宅株式会社
  • 撮影
    猪股純一

データ