Solarium House

1F  Plan
図面
2F Plan
図面
Section
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夫婦2人と犬3匹の家族の小さな住居の計画である。「出来るだけ家は小さく、皆が集まれる明るいサンルームが欲しい」というシンプルな要望が特徴だった。 一方敷地は狭小地で、南と東は高層建物や施設が近接し、唯一開けた北と西には駐車場や雑多な資材関係が放置されている環境であった。 また、一般的にサンルームとは建物に付属的に設置されるガラス張りの空間を連想させる。このような状況でどのように光を扱い、周辺環境との距離感を設定し、心地の良い居場所を作るかを思考した。 まずは南北に面した建物中央に吹抜けのサンルーム(以下Solarium)を設置し、東西にコンパクトな水廻りや各諸室を設けて周辺環境との距離を保つ。Solariumはこの家の中心で、玄関でもあり、ダイニングの延長でもあり、リビングでもあり、階段室でもある。 吹抜けに面した大きな開口部には、ツインカーボという半透明な素材を用いることで、外部からの視線をカットしつつ、柔らかな拡散光を内部に届ける2枚の光の壁を作り出す。またSolariumには光の壁以外にも様々な開口部を設けることで、均一では無い多様な光の質と風の流れを生み出す。これにより冬の温熱、夏の換気といった環境的な機能も果たす。 各諸室は最小限のスペースとし、天井高さは意図的に低く抑えている。また開口部もコストを理由に最小限としている。それに伴い個室は落ち着きのある拠り所となり、逆に吹抜けであるSolariumがより開放的に感じられる。さらに吹抜けに面した各室の壁には特徴ある扉や開口部を設けることで、Solariumと適度な距離で繋がる。その結果、断面における斜めへの拡がりを獲得することが可能となり、内部に居ながら意識的にも身体的にも外部へと感覚が伸びていく。 このように、Solariumは従来のサンルームが持つ機能を拡張させ、単なる機能を超えて人間や動物のための居場所となることを目的としている。同時に、多様な機能を持つ空間は次第にその機能を失っていく。その後空間が無機能性を確保すると、住まい手が主体性を持って自由を獲得し始めるのである。

チーム

メンバー

クレジット

  • 撮影
    佐 々 木 育 弥 / Maryana Kovalchuk
  • 設計
    YKAA
  • 担当者
    山崎貴生 / Maryana Kovalchuk

データ