山居茶境 by 茶聚场théATRE

ビルディングタイプ
その他商業施設
16
934
中華人民共和国 Bei Jing Shi

補足資料

茶土の実験過程
その他
茶土の実験過程
その他
茶土の実験過程
その他
Tea earth brickモックアップ製作
その他
空間構成ダイアグラム
ダイアグラム
マテリアルダイアグラム
ダイアグラム
平面配置図
図面
店舗配置図
図面

DATA

CREDIT

  • 撮影
    堀越圭晋/ エスエス
  • 設計
    小大建築設計事務所
  • 担当者
    小嶋伸也 / 小嶋綾香 / 北上紘太郎 / 呉康馨 / 黎珏欣 / 田哲銘
  • 施工
    北京鼎腾装飾工程有限公司
  • 素材研究協力
    土上工作室

théATRE茶聚场は、茶を通じて飲食やアートを生活に結び付けるライフスタイルを提案するブランドです。théATRE茶聚场による今回の新しいコンセプトショップである山居茶境は、中国でも一二を争う金融オフィス街である北京国貿CBDのオフィスエリアの中に位置し、周囲のエリアは主にビジネスマン向けのカフェや軽食スペースが数多く存在します。そのような場所の中で、お茶の深い世界に触れながら心身共にリフレッシュを促し、都市の喧騒や圧力から解き放たれる空間「山居」をお店のコンセプトとしています。 店舗は主に3つのエリアで構成しています。店舗入り口のショップエリアとお茶を提供するカウンターエリア。窓際のプライベートなゲストエリア。そして一番奥にあるVIPの独立した茶室。3つの性格が異なるエリアに分かれており、そのエリアごとに微妙な素材の変化や光の取り入れ方、什器や家具を工夫することで、お茶を様々な視点で感じれる空間体験を提供しています。お茶の魅力は、一つの茶葉から作り出される様々な形や色、香り、味の豊富さであり、さらに茶葉の種類や発酵時間によって違った味わいとなるお茶の世界は人々の探究心をさらに擽ります。 今回の山居茶境では、特徴的な素材としてゼロからこのブランド独自のマテリアルを開発するという大胆な試みをしました。お茶に使われる様々な茶葉とその茶葉が育った場所の土を使い、土と茶葉を混ぜ合わせた「茶土煉瓦」として独自開発し、夯土という技術で茶葉と土を混ぜ合わせ、化学薬品や添加物など天然の土と茶葉の素材以外は一切使用せずに手作業で堅く圧縮することで強度を増し、完全な天然素材の煉瓦として、建材として使用する事が可能となり、使い終わればそのまま自然に帰ることが可能な何度も再生可能な素材である。またその茶葉の種類や比率、水分量や土自身の性質や色、密度などを細かく実験、検証を重ねることで、必要な強度と汎用性のある独特な色彩と質感と味わいのある、一つ一つが少しづつ変化のある茶土煉瓦を独自開発しました。この茶土煉瓦を敷き詰めた壁面を遠くから見ると、土壌と茶葉の天然の色のばらつきがあり、近くで見ると自然光に照らされた茶葉と土の粒子の凹凸とその陰、煉瓦を作る職人の手仕事の痕も感じ取ることが出来、単一で大量生産された既製品の素材では作り出せない、この場所でしか味わえない独特の素材が醸し出す自然を感じられる贅沢な空間を体験できます。さらにゲストが近くで触れることができるお茶カウンターには、厳選した檜一枚板の銘木を仕上げ、その檜が持っている自然銘木の磨かれた樹皮の不規則な天然の形状がが空間全体の雰囲気と呼応し、静的な空間に時間と生命の痕跡を感じさせます。その銘木を用い、茶土煉瓦と一体となった壁面の商品陳列は、商品やボトル、茶器などお茶の商品をシンプルに展示しています。さらにカウンタ―では、一般的なカフェバーよりも低く設定し、ゲストがより快適で落ち着いてお茶を体験できるスケールを考慮し、カウンター越しに流れるような茶藝師のお茶を淹れる作法を間近に感じながら、自然素材に囲まれた空間の中で茶を楽しむことができるように設計しています。 山居茶境の什器デザインにおいて、山居茶境はお茶に関しての展示を最大限にする方法を考慮しました。今までのお茶販売店のように商品や茶筒を大量に陳列する見せ方とは異なった方法として、茶葉からお茶になる過程を標本として、その種類や形、香りを鑑賞し、そして学ぶ環境を提供し、ゲストが徐々にお茶そのものに対する理解を深めることを目指した什器と陳列デザインとしています。標本棚には茶葉が枝から製品に至るまでの形態を観察できる様な仕様とし、様々な種類の異なる茶葉と触感と、その香りを嗜む事ができます。 空間の一番奥にあり、扉を開けると現れるVIPの為の独立した茶室空間は、壁面と天井を連続して包み込み、お茶葉を入り混ぜた珪藻土で一体的に仕上げている。店舗と茶室の間に少し薄暗い前室を設け、一度雰囲気を変えることで、気持ちを落ち着かせ、VIP茶室に入り込む自然光をより感じられ、お茶の体験をより豊かにさせてくれるとともに、壁面と勾配天井の茶葉入り珪藻土の凹凸がお茶の香りと光と影の陰影をより強調し、ゲストの心の変化と環境のシークエンスの楽しさを感じさせます。 立面の南向きのファサードは、すぐ隣に駐車場の入り口があるため、景色や風景の観賞は難しいが、自然光を取り入れながらも、立面全体の一体感のある見え方を目指し、デザインはシンプルな無垢材の木を縦方向に並べ、店舗の立面を整えながら、視線を遮るプライバシーを確保しながら、南向きの自然光を空間内部に最大限取り込み、特にお茶を楽しむゲストエリアとVIP茶室が十分に外の自然を感じられるように配慮しました。日が落ちてくる時間になると、無垢材格子に仕込んだ間接照明が温かみのある、光と木材に包まれた空間体験の雰囲気を室内外にもたらす様にデザインしました。 「お茶のある豊かな生活」というブランドコンセプトのもと、山居茶境は単なる茶葉の販売や試飲の店舗に留まらず、お茶文化の深い理解、お茶がそもそも持っているリラックス作用、自然と人間の一体といった体験を提供することを体現できる空間として設計しています。

物件所在地

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